レコーディングが終わって、ミックスに入る前にやっておきたい事務があります。ミックスはレコーディングと違って、整理整頓が大きく作業の効率に影響をしてくるので、必要な事務を地道にこなしていくことが大切です。ここでは、ミックスに入る前にやっておきたい事務処理について説明していきます。
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バックアップを取る。
ミックスに入る前に、オリジナルデーターのバックアップを別のHDDやUSBメモリーなどに保管をしておくようにしましょう。そうすれば、万が一使っているパソコンが壊れてしまった場合でも、やり直しが効きます。また、バックアップを持っている人数は多いほうがいいので、なるべくメンバーやプレイヤーにもデーターを持っておいてもらうようにするようにしましょう。
トラックのリネームをする。
レコーディングのときもある程度法則性のある名前にしているかとは思いますが、ミキシングではしっかりと一つの法則で名前を統一するようにしておくと後々便利です。
これが正解!というのはあまりないのですが、僕が使っているやり方をご紹介するので参考にしてみてくださいね。
トラックの名前の具体例
パート名+マイク名+定位+(パート名)
(画像)
例)曲の2Aに登場する左に寄せるアコースティックギターの場合
ACG_C451B_L_2A
例)ドラムのスネアマイクの場合
SNR_TOP57
スネアドラムは曲中を通してセンターで使うので、マイク名以降は省略をしています。
例)曲のサビで登場するマーシャルのアンプでとったエレクトリックギターの場合
EG_MS421_R_1C
ギターが二人いて、メンバーの頭文字がMだった場合
MEG_MS421_R_1C
といった調子です。
パートの後は臨機応変に違いがわかるように記入をしています。
トラックの順番と色を整理する
トラックを名前順にするのではなく、関連した項目の順番にしてあげるとミックスを進めやすいです。例えばドラムの各パートをまとめておくといった調子です。
色付けするかどうかは好みが分かれますが、僕の場合はパッとみたときに認識しやすいので、色を分けていることのほうが多いです。
ここでもある程度トラックの順番と色付けを決めてしまうと、毎回どのぐらいの場所に何があったかを迷わずに済むので大変便利です。
以下に具体的に僕がよく使う並び順と色を例示しておきますので、参考にしてみてくださいね。
並び順 | 色付け |
ドラム類 | 赤 |
ベース | ピンク |
メインボーカル | 黄色 |
ギター類 | 緑 |
キーボード類 | 青 |
シンセサイザー | 藍色 |
コーラス | 灰色 |
SEなど | 茶色 |
FX | 白 |
といった具合です。並び順は厳密には決めていないのですが、気づくとこうなっていることがほとんどです。
人によっては色がチラつくことで集中力が削がれてしまうこともあるようなので、無理に色付けをする必要はありません。パッと見たときに分かり易ければ大丈夫です。
イベントの整理
DAWによって呼び方はまちまちだとは思いますが、レコーディングしたもののうち、不必要な箇所の削除をして、頭と終わりにフェードイン、フェードアウト処理を加えていきます。
そうすることで、どこに何のパートがあるのか一目瞭然になり、メリハリをつけやすくなります。
最初によく使うエフェクターやメーター、リバーブなどを立ち上げておく
僕の場合はミックス用のテンプレートを作っていて、そこに何でも落とし込むようにしています。後ほどコラムでそのテンプレートをご紹介するので、参考にしていただければ幸いです。
ここでやりたいことというのは、よく使うものをあらかじめバイパス状態で立ち上げておくことで、音を判断するときに時間を短縮するということです。簡単なことではありますが、先にやっておくと大きな時間の短縮につながります。
プロジェクト名に法則を持たせる
トラック名と同様にプロジェクト名にも統一感を持たせてあげることが大切です。
というのも、そういった管理を始める前はこんなことになっていました。
ダメな例)I DON’T ROCK YOU_FINAL_V3_LAST_BEFORE_MASTERING
といった調子です。何が起きているかというと、自分では最終盤で作ったつもりのミックスから修正が何回か入り、さらにマスタリング前にも何回か修正が入った結果、このような訳のわからないプロジェクト名になってしまったのです笑。
客観的にみると笑い話なのですが、当時は本気でミックスに取り組んだ上でそうなってしまったので、ここでも注意喚起をしておきます。
改善例)
I DON’T ROCK YOU_20170811
曲名と日付だけに統一することで、どれほどバージョンを作ってもすっきりと管理ができて、かつ修正もメールから追うことができて簡単になりました。
心得チェックポイント
・ミックスを始める前に、どれだけしっかりとトラックを整理整頓できるかでミックスの完成度が大きく変わってきます。
・いざ、ミックスを始めてしまうとなかなか事務的なフェイズには戻れないものです。事務的な作業を先に済ませてしまうことで、音だけに集中できるようになります。
・曲や音に慣れてしまうと、だんだんと正確な判断ができなくなってきてしまいます。だからこそ、ミックス中に時間がかかりそうなことをあらかじめ片付けておいてしまうことが大切なのです。思いついた取り組みはどんどん試して、自分だけのワークフローを持つようにしてみましょう。