マスタリングでは最終的な音量を決める作業でもあるので、メーター類だけではなくて、実際に聞いてみたときの音量感で判断をしていきます。 

なので、モニタリングの音量が曲やパートによってバラバラだと楽曲ごとの判断がしにくく、仕上がりにバラつきがでてきてしまいます。 

そこで、僕はマスタリングをするときには2種類のボリュームの設定に絞るようにしています。そうすることで、音量についての判断をより正確にすることができるようになります。 

 

全体を見渡し、ローエンドを聞くための大音量 

ひとつが、ミックスのときではあまりしないような大きな音量です。大きな音量で再生することで、30hzから50hzのローエンドの振動を体で感じられるようにします。普段は見えないような帯域を感じることで、全体を見渡すことができるようになります。 

ただ、一方で、大音量を長時間聞き続けることは耳を痛めてしまうので、必要な時に必要なぶんだけを大音量できくようにすることが必要です。 

また、スピーカーの特性をみたときに、ローエンドまでのびていない場合は、同じメーカーのウーファーを追加することで、再生できなかった帯域に対応できるようになります。 

もし、再生環境がない場合は、ローの特性に優れたヘッドフォンを使うことで代用するのも方法としてはアリです。 

 

耳を休め、音量感を確認するための小音量 

もう一つが普段ミックスしているぐらいの音量です。丁度、人と会話できるぐらいの音量を目安にするといいでしょう。小音量で音を聞くメリットは耳を休めるだけではなくて、大音量よりも音量に対して敏感に判断することができるところにあります。 

なので、音量を揃えていくときには小音量のボリュームで再生して判断することが比較的多いです。 

 

Dimスイッチを活用しよう 

使っているインターフェースやモニターコントローラーによってはDimスイッチがついています。これは決められたボリュームを瞬時に下げることができるスイッチで、あると大変便利です。大音量用にボリュームを設定しておき、小音量でききたいときにはこのスイッチをいれればいいので、実質、ボリュームの操作をスイッチ一つで切り替えることができるようになるのです。 

 

心得チェックリスト 

・マスタリングでは決めた2種類の音量だけで作業しましょう。 

・大音量はローエンドを体で感じられるぐらいの音量で調整しましょう。 

・Dimスイッチを有効活用することで瞬時に手元のボリュームを調整できます。