先日、Twitterでお題を募集してみたところ、こんなご質問をいただきました。
「アナログにすると高域が音痩せしてしまうのですが、どうやって対処をしていますか?」
僕流の解決策は、結論を先に書いてしまうと
「ラインケーブルを見直す」
ということです。
僕も良いコンバーターを揃えて、機材もマスタリングクラスのものを使っているのに、高域がロールオフしてしまうことに悩んでいたことがありました。
ですから、質問をいただいた方の気持ちはすごく良くわかります。
高価な機材を買っているのに原音が変わってしまうのはやはりショックですよね笑
アナログの音痩せ対策については色々な流派があると思うのですが、ここでは僕なりの解決方法をシェアできればと思います。
(若干宣伝こみです笑)
音が変わってしまう要素を順番におって考えてみましょう。
Contents
AD/DA(オーディオインターフェース)で音痩せをしてしまうことってあるのだろうか?
あくまでも僕の経験でのお話ですが、
AD/DA(オーディオインターフェース)部分だけで高域がロールオフしてしまうケースは稀だと思います。
僕は新しいAD/DAの導入するときには、AD/DAの性能を測るために、再生して録音を繰り返すループバックテストをやります。
だいたい、5回ループバックをしてみるとわかってくるのが、いわゆるAD/DAの音質の劣化というのはレンジではなく、時間軸や音の鮮度の部分の変化に現れやすいと言うことです。
ちょっと曖昧な表現にはなってしまうのですが、演奏がグニャグニャした感じになってしまったり、奥行きがなくなってしまったり、するのが、繰り返しAD/DAをすることの弱点であるように感じます。
アナログ機器はローファイ?アナログの暖かみってあるの?
よくAnalogue Warmthといった表現を見かけますが、
本来のアナログレコーディング機器自体は非常にハイファイです。
原音をちゃんとハイファイに録音、再生できるからこその専門機器だと言えます。
良く言うアナログの暖かさは、高域がロールオフしているというより、低域からうまく倍音がのっていてファットに聞こえるようになり、サチュレーションした結果レンジが埋まっていることをさすように感じます。
例外として、ビンテージ機器は使われているパーツが古いがゆえに本当に高域がロールオフしてしまっていることがあります。
これを暖かさと表現するのは確かに感覚的にはよくわかる話なのですが、それはあくまでも例外です。
名機と呼ばれる古いレコーディング機器たちも、他のアウトボードと比べてハイファイだったからこそ高く評価をされています。
ですから、アウトボードのせいで音が痩せてしまうといったことは基本的には考えにくい話であるように思います。
つまり、アナログだから丸い音になるのか?というのは、本当はそうではない可能性が高いように感じます。
ラインケーブルでレンジが変わってしまう?
コンバーターでも、機材でも無いとすると、あり得る要素としては、電源とラインケーブルの二種類に絞られます。
電源については、100vを引き込んでいる状況ですと、電源ケーブルでおおいにサウンドは変化をしていきます。
ただ、これについてはどれぐらい変わるかが各々の環境次第になってきてしまうので、一旦おいておくことにします。
実際にラインケーブルの音をADDAループバックで試してみる
ちょうど手元にあるケーブルをそれぞれ試してみます。
自身がケーブルの代理店をやっていることもあるので、社名と型番は敢えて伏せますが、A/Bテストの結果、僕はRMC01を基本的なラインケーブルに、RMC-S01をレコーディング用に採用しています。
(もう一つの定番のM社はたまたま今手元に同じ長さのペアがありませんでした汗 誰か貸してくださいな・・!)
他のケーブルの具体的なモデル名を知りたい方はメッセージやリプライをいただければダイレクトメッセージでこっそりお伝えします。
音源はサンプル販売サイトで購入したロイヤリティーフリーのものを利用しています。
ITB(In the boxの音、元々のデジタル音源)
まずは、こちらが基準になるもので、 AD/DAを一切していないモノです。
ここからどのように変わったか?がケーブルの性質を表すということになります。
DL可能にしてありますので、是非もともとのwavファイルで比較をしてみてください笑
mp3だとそんな変わらない?と思うものが、結構大きな変化だと感じられると思います。
C社2芯ケーブル
ぐっと重心が下がって、高域のブライトさが抑えられたように聞こえます。
ベースとキックが前に出てきた印象、ですかね。
全体的に大人しさを感じます。
C社4芯ケーブル
バランスの良い音だと思います。やはりハイが大人しくなる傾向ですが、うまくファットになっています。
流石定番なだけあって、耳なじみの良さというか、安心感のある知っている音がしますね。
2芯ケーブルに比べると、立体表現が優れているように思います。
B社4芯ケーブル
ちょっとマットな音質ですね。これもよくスタジオで見かけるケーブルです。
ピアノのサンプルには合っている感じがします。割とエフェクター的要素が強い感じも?
H社高級オーディオ用ケーブル(ペアで500ドル程度)
今回、最高価格のケーブルです。
ハイがわかりやすく強調されていますね。
音量が上がり、納得の音場表現かな、と思います。
若者向きっぽい音、元気いっぱいという感じです。
Reference Laboratory RMC-01
スピード感があり、フルレンジが出ているように思います。
定位感が良い感じに溶け合っていて気持ち良いです。
トランジェントが立っている分、ピアノの音が刺さる瞬間もあります。
Reference Laboratory RMCS−01
耳障りが非常に良いですね。柔らかいけど、ブライトです。
特有の色気感、みたいなものがあります。
ピアノの臨場感が素晴らしいです。
テスト環境
利用ソフト:Studio ONE 3.5
AD/DAコンバーター:Antelope Eclipse 384(with 10M clock)
プレイリストはこちら
このように、ケーブルによって高域、音量感がまるで変わってくるのがお分かりいただけるかと思います。
ケーブルは何がフラットなのか、味付けがないと言うのはどう言うことなのか、がよくディスカッションされるポイントですが、思うに味付けのないケーブルなど存在しないと言うのが僕の意見です。
だからこそ、どのケーブルが好みなのかを選んでみる必要があります。
僕はケーブルを買ったときに、似たようなテストをして、結果RMC-01のファストで機動力のある音とRMC-S01の柔らかい音をシステムに採用することにしました。
ぜひ、自分のセンスに合うラインケーブルを選んでいただきたいと思います。
個人的には、業界標準の安心感みたいなのって、実際ちょうど良いオトシドコロなのはよくわかるのですが、それを100パーセント信じてしまうのは如何なものか、とも感じています。
標準よりちょっと外れたところに、自分なりのこだわりや個性ってあらわれるものじゃないでしょうか。
前評判を気にする事なく、自分の感覚で選ぶことが何より大切だと僕は思います。
アナログで音痩せをしてしまうときのトラブルシューティングの順番
経験則から、以下の順番でトラブルシューティングをしていくのが良いでしょう。
機材にレベルを入れすぎて飽和していないか>ラインケーブル>電源ケーブル>AD/DAコンバーターの質>機材の不調(真空管系)
お力になれていれば、嬉しいです!
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今回ご紹介したReference Laboratoryのケーブルはこちらからお買い求めいただけます。
RMC01
RMCS-01