ミックスを作っていく前に、ある程度、自分がどういったミックスを表現したいかの完成系を定めておくようにすることが大切です。ここでは、どのようにすれば目標を見失いにくいかについて説明をしていきます。
ミックスって何をすること?
ひとえにミックスをするといってもいろいろな意味合いがあり、混乱をしてしまうかと思います。少し乱暴ではありますが、強いて言えば、ミックスとは「近い音と遠い音で奥行きを作っていく作業」ということができます。
よく、お弁当箱を例にして各パートを納めていくことがミックスだと語られることが多いのですが、それだけではあくまでも上下のバランスだけに終始をしてしまい、奥行きや広さを表現することができません。
周波数だけの観点から音をみるのではなくて、あくまでも耳を音で判断した上で「もしその音がもっと近かったら」「もしその音がもっと遠かったら」を想像して再現をしていく作業と捉えると、自由な発想で音を作っていくことができるようになるはずです。
今回は、ミックスの各楽器同士のバランス、位置を見直すことでどうやったら3次元的なミックスを作ることができるのかについて考えていきます。
ミックスの各要素と設計図
ミックスを要素に分解していくと、以下のような立方体で示すことができると僕は考えています。
それぞれ、
X軸がPAN
Y軸が周波数
Z軸が奥行き
で表現をすることができます。
この中で、Y軸に関しては楽器の持っている特性やアレンジでほとんどの位置付けが決まってしまうので、基本的にはこの中で、X軸とZ軸をどのように作っていくのか?ということが勝負するポイントになってきます。
そのため、先ほどの図を2次元的に表現しようとするとこのようになります。
この図のなかにどういった楽器を配置していくかを各パートごとに最初に決めておくようにすると、それぞれの位置関係を相対的に認識することができるようになります。
メインの楽器に耳を傾けたときに、周りの楽器の配置がどうなっているのかを見つめ直すことができるので、ミックスがうまくいかないときにトラブルシューティングがしやすくなるのです。
闇雲にフェーダーやエフェクターを掛ける前に、一度こういった図に当てはめて整理をしてみると、ミキシングでどういった音を描きたいのかがはっきりとイメージできるようになってきます。
リファレンスとしている作品を聞くときにも、この図に当てはめながら作品を聴いてみることで耳を鍛えて行くことができます。なかなか一朝一夕ではいかないかもしれませんが、まずはこういった聴き方があるということをお伝えできればと思います。
心得チェックリスト
・ミックスとは近い音と遠い音を立体的に配置していくことです。
・実際に音をいじってみる前に、目標を図にしみると迷子になりにくいです。
・設計図通りにミックスを進めていけば、うまくいかないときに自分のアプローチのどこが違うのかがわかりやすく、上達にも繋がりやすいです。