こんにちは。
ここ最近、僕はケーブルの総代理店をはじめて色々なスタジオやプロデューサーの方の現場にお邪魔をしている。
本当に色々な方法で、音楽を皆作っていて、出来上がってくる音をみると機材が高級かどうか、数が多いかどうか、というのはあまり関係ないように感じられた。
ついつい、エンジニアリングというと、
いい道具を持ってなきゃいけない、
あるいは、この機材じゃなきゃダメなんだ!という思考に陥りがちになってしまう。
でも、もしあなたがインディペンデントに活動しようとしているアーティストなら、実際にはそんなことは些細なことなのかもしれない。
機材と世界観の話
もしも、機材が些細な問題だとしたら、どうしてエンジニアや、プロデューサーたちはあんなにたくさんの道具を持っているんだろう?
そう不思議に思うのは当たり前だと思う。
僕は、そうしなければ音楽がうまく表現できないからそうしているのだとエンジニアリングをやり始めた頃は思っていたのだけれど、最近はそうでもないように感じている。
市販品である以上ある一定のクオリティーを保つ必要があるというのはもちろんその通り。
だけれど、そのクオリティーが必ずしも高い必要があるか?というと、それは表現したいモノ次第だとも思う。
いろいろと考えてみたのだけれど、
彼らは、結局のところ、ポップカルチャーを生み出す必要があるからそうしている、というのが今の僕の見解だ。
ポップカルチャーについて
最もヒットすればお金になりやすいのがポップカルチャーだ。
ポップとは何か?と考えてみると、それは「最先端の何かを更新していること」だと僕は最近感じるようになってきた。
何か新しい体験を、聴き心地を、提供するのが、ポップ感につながっているように思う。
その当時の最先端で、時代の音はいつも作られていて、だから、後から振り返るとその年代の音というのが存在する。
ポップをプロダクションするのであれば、いつも+αの何かがなくてはいけない。
それを表現するためには、道具の数がいるし、質がいる。
最先端の何かが常に必要になるように思う。
ポップじゃないエンジニアリングについて
で、ここで話を戻すと、もしあなたの音楽の世界観がポップカルチャーに属していないのなら、機材がどうだーという話はそこまで問題にならないかもしれないということだ。
例えば、この間、素晴らしいトラックメーカーの方のスタジオにお邪魔したときに、おおっと思ったことがある。
僕はマスタリングエンジニアだから、どうしてもADDAコンバーターやどうやってデジタルとアナログを行き来しているのかについて人よりも強い関心を持っている。
彼は、D3200というKORGのMTRで録音したものを、初代MOTU 828で録音をしていた。
D3200は2005年製。828は2001年製だと思う。
実に旧世代のモノで、今では手に入れることも難しい。
一般的にはデジタルモノは、新しいものの方がスペックが高く、音もいいとされていて、
好んで昔のモノを使う人は少ないように思う。
彼は特にお金に困ってというわけでもなさそうだし、音にもはっきりとこだわりがある人だったので不思議に思い聞いてみると、
「この音が僕の音楽には合っているんだ」
と返事をもらったことがある。
彼がいうように、実際僕もそう感じた。
もし、あなたがポップカルチャーに属していないのなら、そういう選択肢は大いにありだし、ベストな音が高級機材の音とは限らない。
レコーディングについて学んでいくと、ついつい忘れてしまいがちな視点だけれども、
何がベストかを考えていくことはとても大切なことだと感じる。
機材から世界観を導くのではなくて、世界観から機材を導こう
どの世界観が欲しいのか。
それを表現するために、何をするのか。
試行錯誤するのがエンジニアリングで、その目標が達成できるならこうじゃなきゃいけないってルールはあるようでいてないようなモノのだ。
だから、ロックバンドはどんどんMTRで音楽を作ればいいと思うし、AKAIで完結するエレクトロニカだって素晴らしい。絶対プロツールズじゃなきゃいけないってことは全然ない。
それよりもずっと、「こうじゃなきゃいけない!」という世界観を持っていることの方が大事で、あくまでも機材はそれを叶えるためのツールにすぎない。
例えば持っている機材が少なくても、高いものでなかったとしても、ゴールが見えているならできることはいくらでもあるじゃないだろうか。
そういうところから、いつだって新しい手法は生まれてきたはずで、色々な機材を試してみる前にできることはたくさんある。
一方で機材から学ぶことも沢山あるんだけれど笑
自分の音楽がどういう方法が合っているのか、そしてそれが一般的に良いとされている方法が合うのかどうか、
一度立ち止まって考えてみるのも、良いことなのかもしれない。
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