よく聴かれる質問に、「オーディオインターフェイスって何がオススメですか?」というものがある。
実は答えるのに結構気を使う質問だったりする。
というのも、極端なことをいってしまえば、チャンネル単価が高いオーディオインターフェイスであればあるほどイイものである確率が高い。
とはいえ、誰もそんな当たり前の答えは期待していないはず。
きっと訪ねてくれる方々が聞きたいのは、当たり前の事実じゃなくて、「そうだったのか!」という納得なんじゃないだろうか。
Contents
コスパ重視の方に向けて、いきなり結論
僕が辿り着いた一つの結論を先に書いておくと
定価が15万円以上のインターフェイスを中古で買う
のが、オススメだ。
あくまでも定価で、というのが一つのポイント。
中級者の人ならわかると思うけれど、デジタル市場は価格の下落が速い。
だから、5年前のモノであれば、15万円したインターフェイスも5~8万円ぐらいで買えることが多い。
そういう製品は、コストカットした結果として作られる現行の5万円ぐらいの製品よりもしっかりと作られていて、問題なく現役で使えるモノが多い。
これは、安いから悪い、という話ではなくて、もとから目指している基準が違うということだと思う。
だから、コストパフォーマンスを優先したいなら、定価がどのぐらいの値段だったかを一つのポイントしてみるといい買い物ができるはずだ。
良いオーディオインターフェイスってなんだろう……?
オーディオインターフェイスというのは、DAコンバーターとADコンバーターとヘッドフォンアンプが組み合わさってできた複合機だ。
DAコンバーターはデジタルからアナログに変換するモノ。アウトプットのこと。
ADコンバーターはアナログからデジタルに変換するモノ。インプットのこと。
ヘッドフォンアンプは、ヘッドフォンの音量を決めるためのアンプ。
この3つの性能がイイもの、自分の感性にフィットするものが良いオーディオインターフェイスということになる。
ヘッドフォンは聞けばわかるから、問題無いけれど、ADやDAはどうするのがいいだろうか?
特にインプット(AD)部分は、判断が付きにくい。
インターフェイスの音の正体を5分で掴む、カンタンな方法
インターフェイスを選ぶとき、僕なりのやり方があるのでシェアをしたい。
- iPhoneとUSBメモリに自分のよく聴いている曲を入れておく。
- iPhoneから曲を再生して店頭のオーディオインターフェイスでレコーディングする。
- USBメモリからDAWに曲を取り込んでオーディオインターフェイスのアウトプットからインプットにつないでレコーディングをする。
- 2つのデーターをiPhoneに入れて聴き比べる。
というモノだ。
ひとつずつ解説をしていくと……
ファイルAは、インターフェイスのインプットの性能(ADの性能)を直接聴くことができる。ここであまりに音が劣化してしまう場合は、そのインターフェイスは辞めた方がいい。
ファイルBは、インターフェイスのアウトプットの性能(DAの性能)を聴くことができる。
ファイルAとBを聴き比べることで、どのぐらいiPhoneの出力と比べてイイ音なのかを比べることができるのだ。
案外、iPhoneの出力は良くできていて、誤魔化しが効かなかったりする。
あらかじめ曲を短くしておけば、1分でも充分判断することができるはずだ。
大切なことは評判ではなくて、自分の感性に合うこと
僕は、クリエイターの人たちにこそ、自分の音の感覚にはこだわって欲しいと思っている。
聴いていて気持ちいいと思える音、自分の情熱や気持ちが伝わると感じる音。
そういう音で音楽を作ってもらいたい。
評判は、メーカーや代理店の意図や、無難にオススメできるかどうか、というバイアスがどうしても入ってしまう。
けれど、いちばん大切なことはそのオーディオインターフェイスはあなたにとって気持ちいい音を録音して鳴らしてくれるかどうか?ということだ。
でも、人の感性は、それぞれ違う。
たとえば僕が良いと思うモノが、あなたにとって良いとは限らない。
これが良いと思うモノを僕は誰かに押し付けようとは思わない。
だから、余計な前情報に踊らされずに、自分の耳を何よりも信じるべきだと僕は思う。
僕が使っていたインターフェイス、今使っているインターフェイス
僕は今まで随分とオーディオインターフェイス、ADDAを渡り歩いてきたように思う。特にマスタリングエンジニアとして活動し始めてからは、普通ならあり得ない頻度で色々なものを試してきた。
デジタル信号をいい状態のアナログにだして、いい状態のデジタル信号に変換することがマスタリングではとても大切なことだからだ。
決して、人に誇れるような経験ではないけれど、最後に、僕が使ったことのあるインターフェイスと今使っているインターフェイスを紹介しておきたい。
「これって、実際どうなの?」
「この製品はどう思う?」
などなど、何かご質問がございましたら、お気軽にコメント欄やSNSにお願いします。
<今まで買って卒業したモノ>
Alesis IO26
Motu 828Mk3 Hybrid
RME FireFace400
RME Fireface800
RME FirefaceUFX
RME AIO
DAD 2402
Tascam DA3000
Apogee One
Apogee Duet
Apogee Rosetta
Yamaha N12
Benchmark DAC1
<持ってないけれど、音をよく知ってるモノ>
Avid HDI/O
Lynx Aurora
Apogee Symphony無印
<今使っているモノ>
MetricHalo ULN-2
MetricHalo ULN-8
Burl B2 AD/DA
Antelope Eclipse 384 with 10Mhz
<今、興味があるモノ>
Dangerous Music ADC
Lynx Aurora(n)
SPL AD/DA
QES lab PAD
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お世話になります。Discrete 8が気になっています。マイクをイロイロ選べる点で。もっともいまUADのAppoloを使っていてUNISONに結構依存しています。Discrete 8にUNISONと同様の機能があったばあい、どちらをお勧めされますか?よろしくお願いします。
初めまして!
どちらもいい製品だと思いますよ!
多分、ですけどUADとAntelopeの製品だと動き方が違うように思います。
UADのユニゾンは、入力インピーダンスを制御してプラグインでシミュレートに対して、
Antelopeは確か、FGPAでパーツ単位の構成を計算しているものだったと記憶してます。
UADがElevenRack、AntelopeがBias的な挙動なんじゃないかなーと。
単純にADDAとしてみてみると、僕はAntelopeは素直な音で好きですね!
ただ、Apolloも使い勝手が良さそうで、実に悩ましいところです・・!
こんなご意見も!
https://twitter.com/distchocomp/status/993886478840164352
こんにちは。
を見るに、
RMEを継続して使われていた時期があったようですが、
どの様な印象、位置付けをお持ちでしょうか?
RMEは単体で使うのには非常に使いやすかったです!
外部のADDAを使うにあたってSteadyClockが邪魔になってしまったので、乗り換えた感じです。
音についてはやや固めの印象で、好みが分かれるところですかね。
無味と言われていますが、RMEのカラーははっきりあったなーと今になっては思いますね笑
お返事ありがとうございます。
先だってRME FIREFACE UFXを中古で購入
(「定価が15万円以上のインターフェイスを中古で買う」にビンゴですね!)
したのですが、ミキサーソフトを見ると、アナログ入力にほんの微弱ながらも常時
信号反応が出ていまして、ちょっと気になっています。
他製品も含め、これはそういうものなの(アナログだから、
完全にゼロにはならない)でしょうか?
UFX購入、おめでとうございます!
僕が持っていたものも反応が出ていました。
これは不具合というより、他のインターフェースが切り捨ててるところをしっかり表示しているんだと思いますよ!
ご助言ありがとうございます。
入門機から、えいやあで買った初の上位モデルだったこともあり、若干の不安を抱えていました。
フラット志向の当機材で感覚の地固めをしたいという思惑があり、この選択となりました。
沢山経験を積んで、自分の感性にフィットする何かが見つかったのならば、その時は自分の感覚を信じてみようと思います!
良い買い物をされましたね!
基準としてわかりやすいと思いますよ!
いつも選択肢を模索しながら、これは!と思ったものは試し続けることが大切だと思います。
ご自身のセンスを大切にされてくださいね!
こんにちは
現在、
t.c. electronic konnekt 6を使用しているのですが買い替えを検討しています。
konnekt 6に不満はないのですが、性能がどのレベルか情報がないので、
もしお持ちでしたら教えて頂きたいのですが。
一番考えているのは
ヴィンテージ機のハードシュミレーションの後がけの導入で
音にそんなに違いがないなら
konnekt 6+uad2も考えております。
ちなみに買い替え検討は
zen-tour
APOLLO TWIN USBです。
こんにちはー
僕はTC製品を導入したことがないので、どういうレベルのものなのかは何とも言えないところです。
すいません。でも、マスタリングでよく使われているTC6000を開発しているところですから、悪くはないと思いますよ。
そうですね、自分の使っている機材を評価するときには一回予算のバイアスを外してみるといいと思います。
アポロシリーズでもANTELOPEでも、まずは各メーカーの最上位機種を聞きに行くと、購入しようとしているモデルの立ち位置などが見えてくると思います。
楽器屋さんで、一番いい音のインターフェースを予算上限なしで聞いてみたいと相談してみると、メーカーの違い、価格帯の違いなど諸々見えてくるかなと。
ハードウェアシミュレーションについては、僕はほとんどがUAD2を使っていますが、DSP依存のものでなくても最近はリアルなものが出ていますよ。
モニタリング時にかけることにこだわらなければ、ネイティブでも問題ないように個人的には思いますし、結局は別物だとも思います。
ありがとうございます