続いてマスタリングの実作業に入る前にやっておきたいことは、サンプリングレートの変換とノーマライズです。 

 

サンプリングレートの変換 

サンプリングレートをより高いサンプリングレートに変換することで、プラグインのマスタリングであったとしても、精度を高めることができます。マスタリング段階では、ミックスと違い、処理できることが限られているぶんハイレートで作業をしてもプラグインの数が少なくて済みます。 

処理の重さの観点と、ファイルの大きさの実用上の理由から96khzにファイル自体をアップサンプリングして作業をすることをオススメしていますが、ジャズやオーケストラなどのアコースティックなジャンルに関しては、さらに高いサンプリングレートにアップサンプリングすることも効果的です。 

ただ、問題点としては、サンプリングレートの変換がソフトによって精度がまちまちだというところです。出来ればDAW付属のものを使うよりはサンプリングレート変換を専門とするソフトを使うようにするとよいでしょう。 

個人的にはIzotopeのRXシリーズを利用していますが、高性能なソフトは幅広く出ていて、たくさんの選択肢が今はあるように思います。 

 

ノーマライズをする 

ノーマライズは、最大音量が一定の値になるように音の大きさをデジタル上で調整することです。 

ピーク時の音量を揃えてあげるようにすることで、曲をまたいだときに大きく音量差が出ないようにします。こうすることで、リミッターのセッティングを大きく変えずに音の変化に集中することができますし、最初に音源を判断する時に音量差に悩まされずに済みます。 

僕自身は聴感上の大きさの意味と、アナログ出しする際にクリッピングさせたくないので、ラウドネスノーマライズをしてから作業をはじめています。 

現代では、32bitfloatのファイルを使わないメリットは無いので、マスタリングをする前のファイルの書き出しは32bitfloatを使うことをオススメします。  

※ピーク

一瞬だけレベルが大きくなった場所のこと。 

※ラウドネス 

人の聴感上に近いフィルターを通じて、音量の大きさを表したもの。 

ラウドネスノーマライズは、音量の大きさを自動的に揃える意味になります。 

 

心得チェックポイント 

実用上問題ないと感じるレートでマスタリングの作業をしましょう。基本はハイレートであればあるほど、プラグイン処理は滑らかに機能します。 

・手動で音源のボリュームを調整する手間を省くためにノーマライズを使いましょう。そうすることで、マスタリングの設定がある程度固定化していき、ぐっと作業がラクになります。