続いて、それぞれ曲を短時間で聞いていき、フラットな感覚でぱっと聞いたときにどういった印象を抱いたかをメモしていきます。 

というのも、ぱっと聞いたときに抱いた印象というのはほとんどの場合正しいものだからです。 

皮肉なことに、よく聞こうとすればするほど、細部が気になってきてしまい、大枠の印象がどうであったかを把握できなくなってきてしまいます。 

その意味で、マスタリングの準備が終わった後にはじめに聞いたときの印象というのは、その瞬間でしかわからない貴重なタイミングなのです。 

自分でミックスした曲をマスタリングするときも、その最初の印象というのは変わらず感じ取ることができるはずですが、ミックスダウンが終わった同日にマスタリングをしてしまうと印象が掴めないので、最低でもマスタリングは別日に行うことをオススメします。 

 

第一印象の聞き取りかた 

曲を1分程度流して、感じた印象をメモしていきます。 

このときは予め設定した音量で曲をきき、それぞれ判断していきます。 

どのような言葉でメモをとるかは自由ですが、注目したいポイントとしては以下の通りです。 

・ローエンドからハイエンドまでで妙に飛び出ている、あるいは不足している帯域はないか。 

・耳に痛いと感じるポイントはないか。 

・ミックスが狭すぎる、あるいは広すぎることはないか。 

・ミックスのグルーヴがハッキリしているかどうか。 

これらを意識して聞いていき、メモに落としていきます。 

 

それぞれのローエンド、ミッド、ハイ、ハイエンドを下から眺めるようにして意識を集中させて、それぞれの帯域について問題がないかを聞いていきます。 

 

といっても、いちいちチェックリストをつくる必要はありません。印象を一言で言い表すならこうといったモノをメモしておきましょう。また、問題点に気づいたらそれは確実にメモに残すようにすると、作業のときに助けられます。 

 

具体例 

M1―ミドルが薄い。 

M2―良いミックス。ボーカルが少し近い。 

M3―ベースが弱い。 

M4―グルーヴ感が薄い。高域が痛い。 

M5-良いミックス。もう少し欲し華やかでもいいかな。 

M6-ミックス自体がやや狭い。キックが強い。 

 

こうしてメモをしたものの中で、なるべく手がかからない曲からマスタリングの作業をしていきます。 

そもそもいいバランスのミックスから、問題点がハッキリしているものを順番に並べていきます。 

 

例えばこの場合なら、 

M5 

M2 

M3 

M1 

M4 

M6 

といった順番になるかと思います。 

 

すぐに仕上がる音源から着手をすることで、マスタリングにかかる時間を短縮化できますし、良いと感じた音源からはじめたほうが、ミックスのどこに問題があるのかに気付きやすくなるのです。 

 

心得チェックポイント 

第一印象はマスタリングにおいてはとても大切です。集中して聞いて、感じたことをメモしておきましょう。 

・処理する曲順は、実際の曲順よりも、手のかからないモノからスタートすることが大切です。