続いて、音作りに入る前に必要なテイクの編集、リズム修正、ピッチ修正を行います。
ケースバイケースではあるのですが、ここではそれぞれ気をつけたいポイントについて説明をしていきます。
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テイクを繋いだ場所は必ずクロスフェードを書くこと
イベントを切り貼りしたとき、あるいはテイクを選んでイベントの上に別の波形を貼り付けたときにはクロスフェードを設定してあげるようにしましょう。一聴して違和感が無かったとしても、大きいスピーカーで聞いたとき、あるいはヘッドフォンで聞いたときに違和感が残ってしまう可能性があります。
波形を切り貼りした時には、クロスフェードを書くことを癖にしておくようにしましょう。
リズム修正について
基本は波形の切り貼りで対応をしたほうが、音質や個性を残したまま修正をすることができます。DAWソフトによってはタイムストレッチなどでリズムのクオンタイズを行うことができるものがありますが、なるべく最終手段として使うようにしましょう。
ドラムのリズム修正の基本的な流れ
特に修正を良くするのがドラムのリズムです。ここでは簡単にリズム修正の手順を書いておきますので、実際にチャレンジをしてみてくださいね。
こういった調整をしておくことで、DAWのグリッド基準でリズム編集をすることができるようになり、大変便利です。
特に、ドラムをクリックで録音して、別々にメトロノームでトラックを録音するときにはある程度整えてあげることが必須になってくるので、どういった手順で録音していくかも修正をするかどうかの基準の一つになってきます。
Protoolsの場合はBeatDetectiveという機能を利用することが多いのですが、他のDAWでも「DAW名+BeatDetective」などで検索をしてみると必要な情報にたどり着くことができるはずです。
スネアとキックのトランジェントを摘出
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摘出したトランジェンドで余計に反応している部分を削除
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キット全体をグループ化
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キックとスネアをガイドに、クオンタイズ比率を指定してスライスを作成
クオンタイズ比率でプレーヤーの癖をどのぐらい残すかを指定します。
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イベントを重ねて、クロスフェードの位置を調整します。
このような手順でリズムの修正をしていきます。
どれぐらいリズム修正をするかというのは、ジャンルによって大きく変わってきます。例えばロックやポップスの場合、一定のリズムでキックとスネアが刻まれていると聞きやすくなります。しかし、ジャズやブルースの場合はノリのゆらぎが大切なジャンルになってくるので、かえっていじらない方が良かったりもします。
なので、修正する前には必ず元々のファイルのバックアップをとっておくことをオススメします。
ピッチ修正について
ピッチ修正は補強程度にかけてあげると、ピッチが定まることでボーカルの抜けが良くなりますが、一方でかけすぎるとボーカル自体がシンセサイザーのようになってしまい、シンガーの魅力を半減してしまう諸刃の剣です。
あくまでも補助的にかけることを意識する
ピッチ修正をしていくと、過剰にピッチを修正しがちですが、基本的には気になったところと目立つ箇所を修正することをオススメします。
修正した後にすぐにプレイバックをして、音楽的に無理がないかどうかを判断して、違いがわからないところに関してはそのままにしておくようにしましょう。
修正が効果的なポイント
あくまでも耳で判断することが前提ですが、ピッチ修正をするときに効果的なポイントが幾つか存在します。
・フレーズの最初の1音目
・フレーズの最も高い音と低い音
・ロングトーンの伸ばしている部分
に着目をしてみると、やりすぎない範囲で修正をすることができるかと思います。
ロングトーンに関しては、歌のピッチが目的のピッチに到達してからを修正してあげるようすると自然です。
どのように目的のピッチに到達するかが、歌い手の個性なので、なるべくそこはいじらないようにすると、個性を保ったままピッチがあっている状況を作り出せます。
くれぐれも耳で判断して、音楽的な部分をスポイルしないように注意をしながら作業を進めてみてくださいね。
こういった修正作業を行う目的というのは、余分なエフェクターを掛けないようするためです。リズム(タテのライン)とピッチ(ヨコのライン)があらかじめ合っていないと、無理なEQやコンプレッサーを設定してしまいがちになってしまい、原因に気づいたときにはミックス自体を見つめ直さなければいかない……といったことに陥りがちです。
レコーディングした音をミックス前にしっかりとケアをしてあげることで、ミックスをするときに音楽的な作業に集中することができるのです。
心得チェックポイント
・テイクを選んだときには必ずクロスフェードを書くようにしましょう。
・リズム修正をするときはなるべくタイムストレッチを使わないようにすると自然です。
・ピッチ修正は補助的に行うことが大切です。やりすぎると、どんどんと個性が失われていってしまいます。