ここからは実際にマイクをセットしていく工程に入っていきます。現場で判断をしながらマイクを立てたい位置にセットをしていきます。 

 

マイクを立てるポイントを見つけるために 

何処にマイクを立てるのが正解ですか?と聞かれることがありますが、それは録音したい音によって全く違った答えになります。そのため、マイクを立てるためには、「どういった音で録音をしたいか?」のイメージをハッキリ持っておくことが大切です。 

 

マイクの位置を決めるコツ 

では、具体的に録音する音のイメージを持つということは、何を意味しているかを考えていきましょう。よく「音楽的」という言葉が使われますが、人によってどのように音を受取りイメージしているのか、どんな音に魅力を感じているのかは全く違います。 

3つのステップをご紹介するので、「この音がいい!」と感じる音で録音をしていく足がかりをつくっていきましょう。 

 

  • うろつきながらその楽器が実際に鳴っている音を聞いてみる 

マイクはその場に鳴っている音が録音されるので、実際にその場に鳴っている音を聞いて判断をしてみないとなかなか判断が難しいものです。 

楽器の音を出してもらって前後、左右、近遠、高低をウロウロとしてみることが大切です。その場所で楽器の音を鳴らしたときに、どういった音を録ることができるのか選択肢を予め知っておくようにすると、判断をすることができるようになります。 

 

  • メインに持っていきたい音が何かを考える 

選択肢の中で、どの音をメインに持っていきたいかを考えていきます。そのときに注意をしておきたいことは、いきなりどの音がベストかを決めるのではなくて、あくまでも比較をして考えるようにするということです。 

・近い音に比べて遠い音はどちらが良いのか。 

・高い場所で聞く音と低い場所で聞く音のどちらが良いのか。 

といったように、単純な二者択一にしてしまえばぐっと音を決めやすくなります。 

もし、その状況でどの音が必要か選べないときは、どちらの音も必要だということです。回線数を確認しながら臨機応変にマイクを増やしていきましょう。 

 

  • メインに持っていきたい音+αを追加する 

メインに持っていきたい音が鳴っている位置が分かると、大体のマイクを置く場所が決まります。さらにそこから音を聞いて調整を加えて行きましょう。 

ここではメインの目標はクリアーをしているので、そこからさらに足したい要素に注目をしながら、マイクの場所を調整していきます。 

例えば、 

・もう少しこの音色をブライト/ダークにしたい 

・もう少しこの楽器のこの部分をハッキリさせたい 

といったところの追い込みをしていきます。 

さらに慣れてくると、その楽器が楽曲に対してどういった位置づけにあるのかを考えながらマイクのセッティングができるようになるようになります。 

・この楽器はリードメロディーを弾いているから、アタックがある音が良い 

→メロディーが一番ハッキリ聞こえる場所にマイクを置こう 

・この音は遠くに置きたい音だから、鳴っている音の雰囲気を録音しておきたい 

→その場所の音の響きがよく聞こえる遠い場所にマイクを置こう 

といった調子です。 

 

単純にして、まとめてみると、 

「どういうことが出来るかを知る」 

「一番優先したいことを比較して決める」 

「微調整をして音の傾向を決める」 

ということになります。 

 

この方法を使えば、初めての場所や経験したこと無い楽器であったとしても、失敗をせずにレコーディングを進めることができるはずです。 

もちろん、立てるマイクの種類やマイクプリアンプの種類を知ることも大切ですが、マイクの位置は一番レコーディングの音が変わる要素です。 

セオリーとされている方法に盲目的に従うのではなく、自分の耳とセンスを信じるようにすることで、自分の好きなやり方を確立していくことができるようになるので、試行錯誤することを忘れずないようにすることが大切です。 

 

マイクの位置を決めた後に気をつけたいこと 

マイクの位置を決めた後は、しっかりとマイクスタンドの固定具が締まっているかを確認するようにしましょう。しっかりと固定をされていないとマイクの自重でマイクが動いてしまい、セッティングをし直すことになってしまいます。 

固定具を掴んで締めた後に、もう一度締めるクセをつけるようにしましょう。 

 

心得チェックリスト 

  • マイクを立てるためには、どういう音をレコーディングしたいかのイメージをハッキリと持ちましょう 
  • イメージを持つためには、選択肢を知って、何を優先したいかを考えることが大切です。 
  • こうすれば上手くいく!といったセオリーよりも自分の感覚を信じるようにすることが失敗しないコツです。 
  • マイクスタンドの固定具は、締めた後にもう一度遊びがないか確認しましょう。